胸膨らまない水着ちゃんねー(映画「スプリング・ブレイカーズ」)

胸膨らまない水着ちゃんねー(映画「スプリング・ブレイカーズ」)
☆×2
 
スプリング・ブレイクよ永遠に
 

あらすじ
フェイス(セレーナ・ゴメス)たちJD(女子大生)4人は大学生活に飽き飽きしていた。
刺激を求め夏のバケーションことスプリング・ブレイクに向かおうとするが、お金がない。
強盗すりゃいいじゃん!てことでダイナーで金稼ぎしフロリダへ。そこでは酒、ドラッグ、イケメン、おっぱいと至福の時を満喫するも、うっかり警察にパクられる。
釈放の罰金を払えず困り果てる4人。それを払ったのはエイリアン(ジェームズ・フランコ)。危険な香りのするエイリアンはドラッグディーラーだった。

 
「KIDS/キッズ」の監督ハーモニー・コリンの新作。
正直な話、そこまでコリン作は好きでもなく、「KIDS」も好きでも嫌いでもといったところ。
ジェームズ・フランコ出演、全編水着のパツキンチャンネーがキャッキャウフフとの前情報2点さえなければDVDスルーしていたに違いない作品でした。コリンごめんよ。
 
そんな今作、冒頭にフロリダでのスプリング・ブレイクを満喫するバカども若者たちがサイケに描かれていて、「ああ、この映画はこういう映画なんだな」と強く訴えます。
マッチョの股間に生えた瓶ビールを飲むギャルたちは完全にフェ○チオ&BUKKAKEだし、とりあえずトップレスだし、瓶をパイズリだしといなかなかヒドい冒頭*1なわけです。でもエロさは不思議となくアーティスティックぽい気がしたのは監督がコリンだからでしょうか。
 
サイケでラリってる冒頭とはいえ、こんな声も。
「ちょっとゲスさ不足ですね」
(おっぱい映画評論家Sさん)
 
コリン作のテーマといえばホワイト・トラッシュで、犯罪に墜ちていくor下流から抜け出せない白人若者というイメージ。ただ、生まれや環境、不運など回避できない状況から墜ちていくわけではなく、今作の4人は流されてうっかり手を染めるパターンです。
大学では敬虔なクリスチャンが教師として車座で神に祈りを捧げるわけで、そんなクソ真面目やってらんねえよ!という声が聞こえてきます。だからといってダイナー強盗やスプリング・ブレイクでヤク決めて酒飲んでいいわけじゃないんですけどね。
 
あとはぶっちゃけパツキン4人の造形が雑で、あのディズニー出身のセレーナ・ゴメスが出演!という割にさっさといなくなるし、ヴァネッサ・ハジェンズとアシュレイ・ベンソンも「金髪」「常時水着」と似たような造形のため、「エンジェル・ウォーズ以来のヴァネッサたんハァハァ」をやるつもりが「どっちがどっちだっけ…?」となる始末
水着チャンネーきゃっきゃうふふ映画は今後、黒髪とかショートとか見分けがつくようにしたほうが良いと思いマス!*2
 
ジェームズ・フランコの異形はなかなか斬新で、悪役も似合ってましたね。ラップは下手だけど。
 

今回のパンフ

映画のパンフで重要なのはキャスト情報。略歴は積極的に省略すべきだし*3、映画や監督、出演者へのコメント、裏話が欲しいわけです。
今作驚いたのは謎の監督推し。イントロダクションの次ページにコリン特集だぜ! しかも見開き2ページでカラー・モノにしたコリングラビアがど真ん中!

(これまでいろんなパンフ見ましたが、異例の監督グラビア)
どセンター扱いのセレーナたんがなんで速効退場なのか、きっと裏話があるだろうに、セレーナたん本人コメントはお約束の「脚本を読んですごく興奮したわ」の一点のみ。つまんねえよ!

※俳優インタビューあるある
「脚本を読んで興奮したよ」
「監督はとても才能がある」
「声をかけられて即決した」

今回のデキ:雑

映画×短歌

ビキニとかTバックとかトップレス つめただけでは夢とはいえない

*1:ヒドい=ほめ言葉

*2:セレーナたん黒髪なんだけど、すぐ退場したのでね

*3:トム・クルーズだと作品が多く略歴めちゃ長いし

おいなりのこと(映画「HK 変態仮面」)

☆×5
今年邦画ナンバーワン確定!
  

あらすじ
殉職した刑事の父とSMクラブの女王様を母にもつ高校生の色丞狂介は、父の正義感を受けながらも弱っちく、拳法部に所属しているのに一向に強くならなかった。
狂介はある日、一目ぼれした転校生の美少女姫野愛子が立てこもり犯に捕まるところを目撃し、果敢に救おうとビルに忍び込む。かろうじて犯人の一人をKO。犯人のマスクを被って愛子を救おうとするが、それは女性のパンティーだった。
フオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!

 
愛子ちゃん、どうか俺の闘う姿を見ないで欲しい
 
というコピーですが、見られて興奮するのが本当の変態なんだぜ!(byヤスケン
 
昨年、「アベンジャーズ」公開時、「日本よ、これが映画だ。」というキャッチが一部で物議を醸したのは記憶に新しいですね。
 
ハリウッドよ、これが映画だ。
 
と声を大にして言える作品が登場した!
ハリウッドよ、これがおいなりさんだ!でも可。
ジャッカス」「ピラニア3D」のときもそうでしたが、こういう映画になると俄然ノリノリで感想を書いてしまいます。フオオオオオオオオオオオオオ!!!
 
今作の監督、福田雄一の「勇者ヨシヒコと魔王の城」は評判は知っているものの実は未見で、「変態仮面を実写映画にするなんてどうなんだオイ」が正直な気持ち。それよりシュアリー・サムデイ」で壮絶に爆死した小栗旬が脚本協力ってすげーフラグじゃね?というのが一番でしたが
いやあ、小栗旬やるね! かなり見直したよ。
 
製作や演出は丁寧で、「スパイダーマン」かのような冒頭のクレジットはテンションが上がりました。クモが糸を這う「スパイダーマン」をパロディにしたと思われますが、ヒラヒラ舞うパンティに浮き出るキャスト名なんて最高でした。
 
狂介を演じた鈴木亮平、彼がかなりイイ! ぜんぜん知らない役者でして、プロフを見たらなんと30歳。この変態仮面のために肉体改造もしたそうで、これぞ役者。ムキムキぶりと微妙な浅黒さ、変態仮面時の変態ウォーク、すべてが完全なる変態。変態コスチュームのときはちゃんと剃毛したのかなー。すげー知りたい。フオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!
 

変態の中の変態、安田顕

ちなみにこの作品、プロモーションがあまりされていないためキャスト情報もないまま鑑賞しまして、クレジットにあった「KEN YASUDA」を見て道民としてテンション激上がりでした。
今回の感想では彼をクローズアップしたいと思います。
 

奥様のためのちょっと豆知識〜安田顕って誰?〜

大泉洋が所属する北海道の演劇ユニット「TEAM NACS」の役者で通称ヤスケン
見た目のイケメンぶりと確かな演技力を持ち、近年では「ハケンの品格」などさまざまなドラマに出演。その反面、道内では変態キャラとして有名であり、大泉がブレイクするきっかけだったバラエティ「水曜どうでしょう」のONちゃんの中の人としても知られる。
「水どう」では「ヤスケン包茎手術」「犬小屋で全裸」など変態キャラをいかんなく発揮し、「ヌーディスト安田」の異名を持つ。ナックスの芝居でもとりあえず脱ぐため「服を着なさい!」が彼へのお約束掛け言葉で、「服を着なさい」と言われると喜ぶ変態。愛娘がいるよきパパでもある。

 
ということで、赴任してきた戸渡(とわたり)先生でもあり、変態仮面と戦う「偽変態仮面」を演じたヤスケン
 
お前がキング・オブ・変態だよ!
 
映画はオリジナルストーリーで、学校の地下にあるらしい埋蔵金を狙う悪いやつとの戦いだそうですが、正直途中でストーリーはどうでもよくなりましたね。ムロツヨシも変態ちっくなのですが、ヤスケンの前にはかすみます。
狂介の変態仮面はパンティを被ると、造形は原作通りの変態仮面になります。

(鈴木亮平いい体してますね!フオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!)
 
ところがヤスケンは普通にパンティを被るだけ。パンティの隙間から見えるのはそのままヤスケン。誰が見たってヤスケン隣に大泉洋がいたら、まんま「水曜どうでしょう」。リアル変態仮面フオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!
 
変態だけどヒーロー、変態仮面の評判を下げるべく街中に登場した偽変態仮面がまず行ったのがスカートめくり。お前絶対喜んでやってただろ!というシーンは必見ですフオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
ちなみに8割ほど埋まっていた札幌の劇場は原作未読世代も多いのに爆笑の嵐。一番盛り上がっていたのがヤスケン変態仮面シーンでした。
 

変態成長物語、そして変態ヤスケン

この作品は変態仮面が大暴れするヒーローものでありますが、冒頭を見るに「スパイダーマン」を意識した演出も見られました。
旧「スパイダーマン」3部作ではご存知の通り、童貞なんだけど「精通」「インポ」「ペレ」*1がモチーフとされています。1ではウェブが初オナニー*2、2では糸が出なくなるのがED*3で、童貞なのに性ではやたら苦労しているのも旧作の見所であります。
一方この変態仮面。パンティを被って変態仮面化するのが精通、そして偽変態仮面ヤスケンと戦って自信喪失し変身できなくなるのがED、愛子ちゃんのパンティで最後の敵を倒すのがED克服、という見方ができます*4
スパイディの自信を喪失させるのが報われないヒーローぶりやMJに彼氏ができた、尊敬する博士がドク・オックになったことなど。変態仮面では教師でもある戸渡の真の姿である変態ぶり、なんというダサい対比。だがそこがいい!
 
ヤスケンのスカートめくりに憤慨し戦うものの亀甲縛りされ大ピンチの変態仮面。しかしヤスケンは自分をも亀甲縛りする。
変態仮面「なぜだ、チャンスなのに…」
ヤスケン「放置プレイだ…(恍惚の表情)」
お前がチャンピオンだよヤスケン
 
ヤスケン変態仮面に訥々と語りかける。
お前はパンティを内側にして被っている…だが私は外側を向けている。なぜなら、触れそうで触れないことで、恥ずかしさを増しているのだ。みじめだ、お前はみじめだ、という声で、さらに興奮するのだ…
だめだこいつなんとかしないと
 
変態仮面ヤスケンを追いビルの屋上へ向かう。そこには自縄自縛亀甲縛りのヤスケンがいた。
すでにこの状態で変態すぎてコメントできません。
「もう邪魔するな、放置プレイを…」
もう勘弁しておなかいたい
 
そんなわけで、最後にヤスケンをついに破り、最後のボスも愛子パワーで撃破するわけですが、ヤスケンの変態ぶりが本当に最高な作品でした*5
ヤスケンとの戦いが盛り上がりすぎて、最後のアレはちょっと地味でしたね。CG頑張っただろうに。

今回のパンフ

ヤスケンが登場しているので楽しみにしていたところ「変態仮面のパンフは作成されておりません」。
こんなバカに徹した作品こそ、パンフで熱く語ってもらいたかったのに。
鈴木亮平の演じるに当たっての羞恥心、ヒロイン清水富美加がおいなりさんを目前にしたときの心境、小栗旬と福田監督の変態トーク、リアル変態仮面ヤスケンの変態への熱意、変態コスチュームで興奮していたであろうヤスケン、スカートめくりシーンで興奮したであろうヤスケンのそのときの気持ち、文字で読んでみたいと思いませんか? オモイマス!

今回のデキ:作ればよかったのに

HK/変態仮面 アブノーマル・パック[DVD]

HK/変態仮面 アブノーマル・パック[DVD]

(メイキングで全裸になるであろうヤスケンを見たいので購入決定)

映画×短歌

今回はなりきりヒーローなりません ヤスケンあなたは服を着なさい!

*1:ED克服のことね

*2:高校生だからオナニーはもうしてると思うけど

*3:童貞捨ててないけどね

*4:勝手な深読みだよ!

*5:褒め言葉

すべてがNになる(映画「ジャンゴ」)

☆×4
 

あらすじ
黒人奴隷が当たり前だった時代。奴隷のジャンゴ(ジェイミー・フォックス)は、賞金首ブリトル兄弟を狙うドイツ系賞金稼ぎのドクター・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)に救われる。
兄弟の賞金を得た2人の間には友情が芽生え、ジャンゴの妻ブルームヒルダを救うため、農場主キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)のもとへ向かう

 
まさにクエンティン・タランティーノ映画でした。
タラ公といえばFワード。Fワード映画といえばタラ公。
こう言っても過言ではないぐらいタラ公映画にはFワードが登場します。「パルプ・フィクション」では281回の「Fuck」が溢れ、今作は黒人奴隷映画*1ということで、「Fuck」以上に「Nigger」で彩られています。
キャンディ農場で働く奴隷スティーヴン(サミュエル・L・ジャクソン)のクソジジイっぷりと黒人奴隷を見下すファッキンニガーぶりは今作ベストアクトではないでしょうか。
 
登場人物の多さとサクサク死ぬキャスト整理整頓ぶりもタラ公らしく、2時間半の長尺も気にならない展開の早さ。ドクター・シュルツのあっけないアレは何だかなあとは思いましたけれども。
 
悪い白人といえば汚い歯、をディカプーが見事に演じており、今後はこういう路線でいけばアカデミーも取れるんじゃね?という素晴らしさでした。
しょうもない爆死白人でタラ公がカメオしてるとか、どうでもいいシーンでもクスっと笑えるのもさすが。大作風味に仕上げてるのとか、キャストが豪華すぎて安っぽい映画が似合うタラ公ぽくないなあとか、気になる点も小さく、やはり自分はタラ公のことが好きなのだと再認識しましたね。
 

今回のパンフ

タラ公の撮る映画は既存作のオマージュにあふれているのは周知の事実。今作ではマカロニウエスタンや時代劇以外にも数々の名作のいちシーンと同じカット、立ち居振る舞いや姿を撮影したりしています。
こんなのあったな、と思うシーンがあれば、ここまでかい!というのも。すべて書ききることはできませんが、映画評論家の町山智浩さんによる詳細な説明は読み応えがあり、本編を二度楽しむことができる重厚なパンフのできといえます。
 
ちなみに「ジャッキー・ブラウン」もNワードが多く、盟友だったスパイク・リーが鑑賞した際「Nワードを38回も使いやがって!」と切れて以降、関係が途切れたことも盛り込まれています。しかしリー作品に出演したこともあるサミュエルが「ニガーをバカにしたものじゃないだろ」と突っ込み、今作も「見る気はない」とコメントしたリーに対し、ジェイミーが「見もしないで批判するのは筋違いだろ」と切り捨てているとのこと。
今作では137個のNワードが「このシーンにはいらんだろ」というほど登場し、もし「ジャンゴ」を鑑賞したならばきっとリーもニガ笑いなことでしょう。*2

今回のデキ:おなかいっぱい

映画×短歌

良識派 キレる映画を撮り続け そんな彼らを見てニガ笑い

*1:ちょっと違うんだけど

*2:これが言いたかっただけ

ボンクラ心、永遠に(映画「オズ はじまりの戦い」)

☆×4
 
 

あらすじ
シケたサーカスでチンケな手品を披露するオスカー(ジェームズ・フランコ)。
気球が嵐に巻き込まれ、見たこともない土地にたどり着く。
そこで出会った魔女セオドラ(ミラ・クニス)に偉大な魔術師と勘違いされ…。

  
旧「スパイダーマン」3部作で世界中のボンクラを熱狂させたサム・ライミが、ボンクラたちが感情移入せざるを得ないハリーことジェームズ・フランコをオズに起用し新たなファンタジーを完成させた。
IMAX3Dにて鑑賞しましたが、映像美がまたよいです。旧スパイディもIMAX3Dで見たくなります。
 
オズはチンケなペテン師で、サーカスのあるカンザスではカンザスには善良な人がたくさんいる。でも俺がなりたいのは善良じゃない、偉大な男だ」と上昇志向の塊であることが見られます。
「オズ」にたどり着いたあとも、偶然とお得意のペテンで「偉大な魔術師オズ」として振る舞った挙げ句、ピンチになったら逃げようとする小さい男でも。
おまけに、ショボいオルゴールでセオドラを口説いた直後、同じオルゴールで姐エヴァノラを口説き、あまつさえそれがセオドラにバレるチャラい男でもあり、偉大なる魔術師オズには程遠かったのもよかったですね。
 
オズが否定し続けた「善良」が、「偉大」の先にあるものとグリンダの言葉で悟るところは、「大いなる力には大いなる責任が伴う」(byベン・パーカー)のスパイダーマンを踏襲しているようで心地よかったです。
 
セオドラのバージョンアップ後はグリーンゴブリンを思わせる造形で、これもライミぽい!と思いました。
 
グリンダ役のミシェル・ウィリアムズがかわゆくてかわゆくて。しょこたんに似てますよね? 足が長くておっぱいも大きいんだけど似てるよね?
レイチェル・ワイズミラ・クニスもいいんだけど、やっぱグリンダ!
 

今回のパンフ

感想を書いたり、内容を思い返したり、パンフ鑑賞は上映後の復習の一貫でもあります。
しかし出演者やストーリー、スタッフの紹介はネットでも十分だし、「ウィキペレベルの情報に写真を付け加えた程度のパンフ」も少なくないのが実情。エリカ様写真集に毛が生えた程度のヘルターなんとかってやつとかな!
今回はライミがジェームズ・フランコをいかに評価しているとか、ファンタジーといえばサム・ライミとか、「死霊のはらわた」のサム・ライミとか、そんなん知っとるわ!な情報ばかりで残念でした。
ディズニー映画のパンフって地味でつまんないのが多いんですよね。

ミシェル・ウィリアムズの写真がかわいい!ぐらいでした。

ウィキペディアに書いてあったのですが、ライミは当初グリンダにヒラリー・スワンクを推していたそうで、魔法を使わなくても強そうじゃん…。っていうかそういう情報こそパンフに載せろよ!

今回のデキ:平凡にも満たない

映画×短歌

かの世界 右手の力を解き放ち救う夢を一度は見てみる

老いてもなおハゲし(映画「ダイ・ハード ラストデイ」)

☆×3
 

あらすじ
ロシアで収監された息子ジャックの元へ向かうマクレーンは、ジャックが出廷した裁判所で爆破事件に巻き込まれる。
混乱に乗じて政治犯コマロフと脱出したジャックと再会を果たすが、「ヤクのディーラーかチンピラにしかならん」と父が思っていた息子はなんとCIAのエージェントだった。

 
「運の悪さは、遺伝する」
こういうキャッチコピーですが、ジャックは運の悪いDNAを継いだというより、単に要領が悪いだけでは、、、という気がします。
ダイ・ハードといえばマクレーンがとった最善の選択肢が不思議と最悪に結びつくはずが、今作は単に雑な行動があるからだろうと。
脚本も穴ボコで、マクレーンの刑事の勘だけ強引に進む物語展開にはやや違和感も。最後にアレを爆発させて歩いて帰ってんじゃねえよおい、と正直思いました。
 
一言で表すと「ハリウッド大作アクションの教科書みたいな頭の悪い映画」*1
2時間を費やしたら何も残らないが、それがいい、という良くも悪くもそんな作品でした。
とはいえ「ルーパー」でもあったように、ハゲをネタにするブルースにはハゲまされるし好感が持てるし、ジャックに対して「お前もあと5年したらハゲるぞ」なんてセリフが笑いどころになるというのは、愛される長寿シリーズなのでしょう。
 
あとは「イピカイエ!マザファッカ!」を絶叫してくれたのは良かったです。

 

今回のパンフ

シリーズものといえば、過去作のおさらいが欠かせません。
これまでさまざまなシリーズものを見てきて、一番充実した内容なのは007シリーズ。シリーズ黒歴史とされているジョージ・レイゼンビーもちゃんと紹介されています。
一方、大人の事情たる黒歴史の場合「アベンジャーズ」では興行成績の爆死からか「インクレディブル・ハルク」の扱いが雑だったり他シリーズは主演も紹介しているのにエドワード・ノートンの名前がないということも。*2

余談が続きましたが今シリーズ。
あらすじやみどころを第一作からなぞり、各シリーズの名台詞まで引用する親切さ。
おまけにFBIへの偽証罪実刑判決を受けた第1作の監督ジョン・マクティアナンの功績と3作目で復帰したことも触れていて、シリーズ化に欠かせなかった彼をなかったことにしないのは好感が。

まあ、レニー・ハーリンの名前はなかったけどな!




(名台詞とともに振り返るマクレーンの額後退度)

頭頂部が切れてるトリミングは優しさなのか、それとも…?

今回のデキ:なかなかよい

映画×短歌

シリーズはまだこれからも進むでしょう 額はもう後退しないし

*1:頭の悪い=褒め言葉

*2:製作者の名前はあるのに

オールドスタイル・ヒーロー(映画「アウトロー」)

☆×4

あらすじ
その男、行き着く先に事件あり

 
「ミッション・インポッシブル:ゴーストプロトコル」以来のトム主演作。
トムといえば「キラキラ女子」ならぬ「歯がキラキラさわやかヒーロー」。たまに「コラテラル」のような暗くて最後がハグ&キスで終わらない作品もあるとはいえ、トムをトムとしてのアテブリ作品が多いです。
 
そしてこのシリーズ*1
原作の「ジャック・リーチャー」シリーズはまだ未読なんだけども「非情さとワイルドさを兼ね備えたヒーロー」なら、むしろジェイソン・ステイサムのほうが似合うのでは?と一瞬思いましたが、トムいいね!
 
非情でワイルドなくせに、酒場でチンピラに絡まれたら「後悔することになるけどいいのか?」、バディのヘレンが敵のチャーリーに拉致られたところで「好きにしろ、あ、やっぱナシで。ぶっ殺しに行くわ」といった洒脱なセリフをジェイソンが言うとヒーローではなくただのチンピラになっちゃうので、一見優男のトムがリーチャーを演じるのは理に適っていると思われますね。
 
リーチャーの洞察力はすさまじいものの、特筆すべき特殊能力も身体能力もなく、極限まで肉体を酷使するわけでもない。「ヒーロー」としては地味だったり異質だったり。過去の映画では「ボーン」シリーズのジェイソン・ボーンに若干近い面が。ただ、ボーンと違い、特殊部隊ではなく元陸軍である。パンフでも解説されているシャーロック・ホームズとも、常に最悪の事態に巻き込まれるマクレーン刑事(ダイハード)ともいえる。
ただ、最新の技術を駆使するボーン、時代の割に先鋭的なホームズ、一般人なみに携帯も使えるマクレーンに対し、リーチャーはアウトロー(一匹狼)ゆえに所持品がパスポートと歯ブラシのみ、さらには携帯もパソコンも使わない。
そんなとことんオールドスタイルなリーチャーが、ハイテクな現代にさっそうと現れた、というのも面白い。
 
<今回のトム>
そんな異質のヒーローとはいえ、やはりトムである。トム以外が演じたら「ハァ?」となるのもトムが演じるとトムになる。

  • チンピラをボコっていきなり警察署にお泊まり。ヒロインが迎えに来て「殺してないからいいじゃん」
  • モーテルで「すわラブシーンかよ、お前流れ者だろ」と思いきや、抱きしめるように相手のパーソナルスペースに入り込み、ジャケットからクルマのキーを取り出して「おやすみ」
  • 最後の対決で、背後を取って銃を捨てさせたのに自分から銃を捨て、「来いよ!ベネット!」逆バージョンを決める

これがジェイソン・ステイサムだったらやっぱチンピラだわ、うん。
 
悪役チャーリーを演じたジェイ・コートナー。「ダイハード・ラストデイ」ではマクレーンジュニアとして親父譲りの運の悪さを発揮してますが、今作のひょうひょうとした悪役も良いですね。注目の俳優さんです。
 
ヘレンは、、、JKJの谷間!て感じでした。*2
  

今回のパンフ

ぼくは劇場で10本鑑賞したら9本以上パンフを購入します。何年も劇場に通い、年間2〜3桁鑑賞する人の中では案外珍しいとは知りませんでした。
パンフというのは、その作品を反芻するだけではなく、共演者同士やスタッフとの意外なつながりやエピソードを書いてあることもあるので読んでいて面白いです。今後はさらっとパンフのデキや内容について触れてみます。

 
意外なことが書いてあるパンフと書いていないパンフ、というのが存在します。
監督の写真集に毛が生えた程度で、映画についてあんまり触れていないけど「エリカ様の写真がたくさんあるからいいか」とか*3
ペラッペラだけど、第一作の主演女優2人がケンカして絶縁したと暴露された「ムカデ人間2」とか。

さて今作。原作つきといえば「オリジナル展開の有無とありなし」です。冒頭で市民5人が射殺されるわけで、トムは「被害者を洗え」とヘレンに命じます。「罪のない人なのになぜ?」という疑問を、状況証拠と目撃証言だけで「配偶者の愛に満ちあふれた男女2人の被害者が不倫関係だった」と推理するトム。ここはオリジナルだそうで、リーチャーの推理力、後半への展開の鍵という物語の核心にさらりと混ぜるのは見事。
監督が「ユージュアル・サスペクツ」脚本のクリストファー・マッカリーだけあるのかも。
 
もう1点は、序盤で警察のお世話になるリーチャーのシーン。警察官から持ち物のパスポートを返却されるわけで、その警察官が実は原作者のリー・チャイルド。「原作者がリーチャーのアイデンティティであるパスポートをトムに託した」という叙情的な解説もありましたが、こういうカメオは面白いです。

今作のパンフ かなりよい

映画×短歌

笑わずに地味だとしても暗くても キラキラひかるトムの白い歯

*1:シリーズ化されるかまだ分からないけど

*2:JKJ=熟女

*3:ヘルターなんとかってやつ。値段もお高かったです

男は髪じゃない、ハートだ!(映画「LOOPER/ルーパー」)

☆×4

あらすじ
殺人が禁じられた未来、タイムマシンを悪用し過去に殺したいヤツを飛ばしていた。
ジョーは過去から送られてきた標的を始末する殺し屋「ルーパー」。
ある日、いつものようにジョーが仕事しようとすると、未来から自分が送られてきた。

タイムマシンを使った作品は多々あれど、過去と未来の自分と相対するのはまれじゃないでしょうか。
しかも未来の自分との対決で、ジョセフ・ゴードン=レヴィットの30年後がブルース・ウィリスだなんて。

先に評すると、粗は目立つものの力ずくで展開していくSFというのはけっこう好みなのです。含みを持たせすぎな脚本*1が若干残念かなと思いますが、ジョーの行動がオールド・ジョーの記憶や身体に作用を及ぼす点は「ほうほう」と思いましたね。

あとはJGLの3時間かけた特殊メイク。これが一番の見所かな。
冒頭、オールド・ジョー登場前にジョーが生え際を押さえるシーンなんかも「ハゲ」が重要な伏線であると示しているわけで。「オールド・ジョーへの老化」をメイクよりも頭髪の後退で表現したライアン・ジョンソン監督、キミ分かってるよ!
 
 
普通ハゲ→だいぶ後退→出来損ないのニコラス・ケイジみたいなロン毛ズルズルハゲ→マクレーンハゲ

ニコラスハゲからブルースになるわけですが、さすがハゲを気にしない漢の中の漢ブルース。ニコラスだったら絶対やらないぞ!

 
 
脱線しすぎました。
ジョーvsオールド・ジョーでジョーが死ねばオールド・ジョーも死ぬわけで、オールド・ジョーが死ねば現在のジョーがオールド・ジョーになったときにどうなる?というタイムパラドックスはうまく〆たと思います。
ルーパーが30年後の自分を処刑する代わりに余生30年をもらう「ループを閉じる」を伏線に、「ループを断つ」としたのや、銃をもらい人生をもらったジョーとエイブの疑似父子関係とシドとジョーの関係なんかも。ループはタイムリープだけではなく「ループ(輪廻)」でもあるという点は良いです
脚本が割と雑とか、近未来ぽくないとか、農場のシーンが長いとか賛否両論ですが、年末には忘れられてる可能性は濃厚だけどスマッシュヒット作かなあ。

映画×短歌

ハゲだからモテないなんて言わないで 暑苦しさが原因だもの


日記的な

えっと、うっかり誕生日なのですね。
椎名林檎嬢のDVDを見ながら過ごすいつも通りの休日夜を送っていて、見たことある日付だなと思っていたら誕生日ですよ。
自分の誕生日を祝う習慣がないもので、とりあえずこんなことをやってしまいました。

すごいレアといわれたベンチマークと、ケーキ代わりが杏仁豆腐しかなかったので作ったのですが、びっくりです。

味が大ゲンカ

よくよく見たら、もうベンチマークもレアじゃないっぽくて、何か自分らしくていいなあと思ってしまいました。メーカーズ黒のほうがまだよかったかなあ。

*1:サラがジョーの職業に気づくけど、「ルーパー」の知名度ってそんななくね?とか