KAIJUなんてぶっとばせ!(映画「パシフィック・リム」)

☆×5
 
侵略は、空からではない
 

あらすじ
太平洋からKAIJUが現れ、世界は混乱に陥った。環太平洋諸国はエゴを超え、人型ロボット「イェーガー」を開発。KAIJUを撃退しパイロットたちは英雄として崇められた。
しかしKAIJUは人間の戦略を学習し、イェーガーを次々と撃破。米のイェーガー「ジプシー・デンジャー」も撃破され、世界はイェーガーでの撃退よりも壁建設に傾きつつあった。

 

 
タンカーで怪獣殴るシーン最高!
 
燃える!これは燃える!
筋金入りの特撮オタクでガンダムとアニメも大好きなギレルモ・デル・トロ監督が、「自分の好みを全部載せして湯水のように金を使って撮った」作品です。
でも、それだけで十分。映画好きによる映画好きのための映画ではなく、「でっかい怪獣とロボットが殴り合うすごい映画」と普段劇場に通わない人へ簡単にオススメできる傑作なのです。
 
イェーガーは2人で操縦するわけで、親子や兄弟の絆がなければ動かない。ローリーは兄を失い、マコは親を失った。このトラウマを抱えたふたりがガチャコンガチャコンする成長物語、オージーイェーガー「ストライカー・エウレカ」のハンセン親子の確執と親超え、スタッカーとマコの疑似親子と、すべてが見応えがあり、近年にありがちなダークな雰囲気ゼロというのもすっと入りやすい点でしょう。
凛子タンとローリーが色恋めいた関係にならないものありますね。芦田愛菜ちゃんも台詞は「ママー!」だけながら、なかなかのシーンでした*1
 
2人の科学者、ニュートンとハーマンの友情物語でもあり、あくまでもイェーガー無双だけではない、というのも心をくすぐるポイント。関係ないけど、ハーマン役の人って「チャーリーズエンジェル」の痩せ男(クリスピン・グローヴァー)に似てるよね?
さらに関係ないけどローリー役のチャーリー・ハナムってチャニング・テイタムに激似だよね? ついったーでそんな話もしましたが「ロボット操縦したりストリッパーやったりホワイトハウス守ったり忙しいヤツだな」と思いました。
 

今回のパンフ

パンフではスタッフと出演者の性質だけではなく、それぞれの関係性もうかがえます。キチガイカルト作ムカデ人間2」のパンフでは、ムカデにされた日本人ヤクザを演じた北村昭博が「本当は2に俺たち出るはずだったんだけど、リンジーとジェニーが絶交しちゃってボツになったんだよねー」と大暴露。
 
今作では、作品について以上にデル・トロ監督のオタクっぷりについて語られています。「ゴジラ本多猪四郎、「キング・コングレイ・ハリーハウゼンへの賛辞の上、インタビュアーにお土産フィギュアをもらったら「これは○○の○話で○○したシーンだね!」と詳しすぎてインタビュアードン引きとか、「日本のアニメも好きだよ『パトレイバー』シリーズいいね。映画は傑作!」とか、傑作を撮った映画監督でなければキモオタ呼ばわりされてもおかしくないエピソードが続々。
 
また、主演3人の監督へのコメントが生々しくて良いです。
ローリー役チャーリー・ハナム「監督は登場人物ひとりひとりに詳細すぎる履歴書を書いていた」
スタッカー司令官役イドリス・エルバ「監督は特撮オタク」
マコ役・菊池凜子「アクション撮影が辛すぎたけど、ギレルモが耳もとで『トトロのテーマ』を日本語で歌ってくれたから乗り切れた」
などなど。
ほかにも登場しないイェーガーの情報も詳しく載っていて、「映画のパンフ」でありながら「PPDCの活動紹介パンフレット」のようでも。
 
今回のデキ:全部載せ

映画×短歌

タンカーで怪獣殴る夢気分 フランスパンを右手に掲げ

*1: