退却NO!USA!USA!(映画「世界侵略:ロサンゼルス決戦」)

☆×3


アクション映画は娯楽だ。爆発、絶望、絶叫、血しぶき、爆発、起死回生。差違こそあれプロットはこんな感じこれに随所に「USA!USA!」を付け加えると「世界侵略:ロサンゼルス決戦」になる
どっかで書いたフレーズと思いきや、年初に観賞した「グリーン・ホーネット」の感想とほぼ同じだった。

脳筋☆自演乙☆DQNヒーロー(映画「グリーンホーネット」) - とりあえず、なんとなく
[映画]脳筋☆自演乙☆DQNヒーロー(映画「グリーンホーネット」)

2時間弱楽しんだら何も残らない!

昨年、水嶋ヒロの「KAGEROU」について日記で「2時間ほど費やして、鑑賞後に何も残らないハリウッド映画のような」と評したが、こちらは良い意味で「何も残らなかった」。

しかし、この作品がつまらないわけではない。こういったものもハリウッド作品なのだ。

まるで一緒。でもこういう作品好きなんですよね。

あらすじ
イラク戦争も経験したベテラン軍曹リンツ(アーロン・エッカート) は退役を決意していた。一方、結婚を控えたハリス伍長(NE-YO)は婚約者と式の準備にいそしみ、新兵はパーティーで童貞をちゃかされゲロを吐き、マルチネス少尉は身重の妻に無事を誓っていた。その翌日、未確認飛行物体が世界主要都市の上空に出現し、突如攻撃が始まる。
平和が破られた彼らに通報。「警察署に民間人がいる」。マルチネス少尉率いる海兵隊2-5小隊の10人は死地へおもむく。

「ロサンゼルス決戦」とあるけど、決戦の前に壊滅してね?

プロットは宇宙からの侵略モノのオーソドックスなプロット。これを「米軍小隊vsエイリアンinロサンゼルス市街地」に限定したアクションは、ちまたでいわれるFPS風であり、市街地の描き方は確かに「ブラックホーク・ダウン」風でもある。
さらにはリンツや空軍のサントス曹長演じるミシェル・ロドリゲス姐さん、獣医のほかはキャラが薄く、ハリスにいたってはエンドクレジットを見て「アイツNE-YOかよ!」と気づくほど。

特徴的なところとしては戦場映画につきものの「死亡フラグ」はあまり働かずサクサク人が死ぬ。目立ったフラグといえば身重の妻がいる少尉ぐらい。キャラが薄い=記号的といってもよく、どんな性格づけをされていようがアッサリ死ぬ。「童貞は死なねえよ!」とチャカされた新兵君は苦しむ間もなく爆死し、NE-YOのマブダチでテレンス・ハワードをちょっと薄くしたような元ワルの兵士も爆発で即死*1。フラグ観賞三段のぼくから言わせると、この監督、まだまだですな。といったところ。


おいおい!というシーンがひとつ。
アーロン・エッカートと獣医がエイリアンの弱点を探ろうとするシーンがあるのだが、死にかけのエイリアンをハンニバル・レクターや「多重人格探偵サイコ」ばりに機械的に生解剖するエピソードにはグロさがなさすぎてむしろ驚愕した。極限状況の「人間の悪意」とはこんなもんかと思ってしまう。アリの王を非人道的兵器で抹殺しようとしたネテロ会長やポックル生解剖をしたネフェルピトーみたいですね。冨樫センセー、早く「ハンター×ハンター」の続きよろしく!
さらには警察署を退避する際、切り刻まれ死んだと思われるエイリアンを無表情に見下ろすリンツの姿はよくも悪くも軍人といえようか。

たいがいが記号的といっても過言ではないこの作品。アクションシーンは迫力があり、確かにモニターの向こう側のエイリアンを撃つ&モニター目がけて迫ってくるエイリアンの攻撃といったゲーム風ではあったかも。
この夏、脅威を爆発とCGでお腹いっぱいにしてくれた「トランスフォーマー ダークサイド・ムーン」という傑作があったため、違う趣のあるアクションを楽しむことはできた。「CoD」みたいだよ!との表現は褒め言葉だろうし、あんなシーンだらけならFPSをやってみようかな?と思わせてくれた素晴らしい作品ではあった。GTAぐらいしかやったことないんだよね。

ラスト、黙ってマガジンに弾丸を詰めるリンツの姿を感動シーン風に描いているのは、やはり米国風なのだろう。USA!USA!

あとやはり触れておかねばならぬのはロド姐であろう。空軍の斥候部隊所属で偵察中に唯一生き残っただけに銃の扱いが猛者揃いの2-5小隊よりもうまい。エイリアンをなぎ倒しヒャッハーするさまは「マチェーテ」のようで、イジられて「この美貌だけで空軍に入ったわけじゃないわ」というナイスな返しと負けん気の強さは「バイオハザード1」の特殊部隊隊員レインのようでかっこよかった。
おっぱいシーンこそないが、強気キャラのアクション女優といえばやっぱりミシェル・ロドリゲスの姉御!という近年の風潮は喜ばしい限り。

どうでもいいけど、無茶したリンツに部隊長のマルチネス少尉が「ジョン・ウェインみたいだな」とたしなめるが、「ジョン・ウェインってなんすか?」と聞き直した若い兵士に少尉が苦虫をかみつぶしたような顔をするシーンからみるに、「最近の若いものは…」が米軍か映画界にも蔓延しているようで、多少微笑ましかった。

映画×短歌

・これからもくせになりそう「退却NO!」 お忘れなきよう「USA!」も





*1:おまけにこの2人は死ぬ前から「名前なんだっけ?」というほどキャラは薄い