ミュータント、殺しのライセンス(映画「X-MEN ファーストジェネレーション」)

☆×5

正直なところ、アメコミものは好きだがその中ではX-MENシリーズは他のシリーズほど好きではない。米国の魂「スーパーマン」、世界も熱狂「バットマン」、ボンクラ乱舞「スパイダーマン」…。それぞれ主人公の葛藤やシンプルな物語やキャラクターの多彩さが見所だが、X-MENはメーンキャラが多く最強のミュータントのはずのプロフェッサーが毎回ピンチに陥ったりモミアゲ野郎ウルヴァリンの自分勝手さがどうにもダメだったりサイクロップスの小物ぷりがダサかったりジーンのおっぱいにしか目が行かなかったり

そして「やっぱマグニートーのほうが正しいよなあ」が感情移入できない最大の点だろう。

そんなそれほど好きではないシリーズ、最近はやりの「前日譚系」としての新章だが、これはイイ!

「ボンクラリーマンが実は暗殺者エリート一家の御曹司だった」超チート厨二設定の「ウォンテッド」で板についたボンクラぶりを発揮したジェームズ・マカヴォイたん演じるチャールズakaプロフェッサーがまたイイ!

車椅子のプロフェッサーがまだ走り回っていたころ…パブで遺伝子ネタを駆使して女の子をナンパしていた。
プロフェッサーの頭髪がまだふっさふさだったころ…「『教授』って呼ばれるとハゲそうだな」とジョークを飛ばしていた。

とにかく軽くて薄っぺらいところが心地よいんです。

それに反してオサレヘルメットの激シブジジイのマグニートー。若きころはまるでジェームズ・ボンド。さまざまなところで散見される「若きボンドのよう」「背景がキューバ危機はまるで007シリーズ」には全面同意というか、英国人監督マシュー・ヴォーンだけにその影響はもちろんだろう。
そのあたりは誰もが触れているので割愛。

マグニートーとプロフェッサーにあるのは「ミュータントと人間は相いれない」「人間とミュータントは共存できる」という正反対の主張。どちらも正しく、どちらも間違いではない。いまさらシリーズの根幹を論じるつもりもないが、これは2010年の大傑作「第九地区」の「エイリアンと人間は共存できない」に近いものがある。
エリックの揺るぎなき思想の根幹には幼いころ体験したユダヤ迫害だけではなく、その迫害を行った今作の敵ショウの存在がある。結果的に人類を支配もしくは滅ぼそうとしたショウの遺志を受け継いだのは、ジェダイからシスに堕ちたアナキン=ダースベーダーのようなダークヒーロー像を踏襲しているようで、マグニートーの魅力にスパイスを施している。

シリーズ第一弾冒頭、ミュータントの能力に目覚めたエリックの描写、ラストにチェスで対戦するエリックとチャールズと前日譚らしいシークエンスもふんだんで見どころはたくさん。
コスプレおっぱいことミスティークの素顔(変装?)やおっぱい、チャールズへの思い、ビーストとの淡い恋、そしてエリックを選ぶ揺れる心、そしてガッカリぽいおっぱいの谷間と、後日のシリーズでは手段を選ばない冷徹なミュータント像と一風違った姿にも萌えた。

それにしてもビーストが「アバウト・ア・ボーイ」のキモデブだったとは、そら「キックアス」のクロエ・モレッツちゃんも美女に育つわけだ

映画×短歌

・主人公 これからハゲると知ってたらカッコよくてもなぜか笑える