(白い歯が)きらきらひかる(映画「M:I:4」)
☆×4
ミッション・インポッシブルといえば「トムによるトムのためのトムの映画」だが、元をただせば「スパイ大作戦」の映画化である。時代もあったとはいえ、過去のテレビドラマのようなチープな中に見所たっぷりのシリーズを一大スペクタクルアクションに仕上げたトムはやっぱりすごい。
あらすじ
ロシアの刑務所にいたイーサン・ハントはエージェント試験に受かったベンジー(サイモン・ペッグ)たちに救出された。
「コバルト」というコードネームを持つ人物がロシアの核ミサイルの暗号コードを盗み出すのを阻止するためクレムリンに侵入するが、動きを読まれ逆にクレムリン爆破テロ犯にされ、IMFからチームも分離されてしまう。
イーサンは後ろ盾のないチームで盗まれたコードをコバルトから取り戻そうと奮闘する。
近年のスパイものといえば今年スマッシュヒットを飛ばした「Xメン・ファーストジェネレーション」で米ソのキューバ危機を描いたが、近年アフガンや北朝鮮、アラブゲリラが多く、米ソ(米ロ) を題材にするものは少なかった。
ところが今作、トムはクレムリンを爆破。女アサシンや核ミサイルによる終末思想の持ち主を登場させ、これぞスパイもの!という原点回帰的な物語を完成させた。やっぱりスパイといえば米ロだよなぁ。
昨年新境地を開拓した「ナイト&デイ」*1、カメオ出演でトム復活の狼煙となった一昨年の「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」*2。キャメロン・ディアスとトムのビジュアルでラブコメはキツイ点はあるけれど、「トム・クルーズ」というキャラを生かした作品が近年目覚ましい。
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アクションもノースタントマンにこだわったトムならでは。クレムリンで爆発して吹っ飛んできたクルマに潰されそうになったり、ブルジュ・ドバイで登山手袋が突如不調になって死にかけたりと、新技術を使っているとはいえ肉体を酷使するアクションの原点をこの2010年代に見れるとは、といったところ。
ほかにも近未来らしくスパイグッズも心躍るものが多いだけではなく、「M:I:3」では後方支援組ながら渋い活躍を見せたサイモン・ペッグが今作ではエージェント試験に祝!合格!カッコイイ上にキャラを生かし「ちょっと小生意気なお調子者新米エージェント」ぶりも楽しめる。
分析官のはずが実はエージェントで、さらにはハントと縁深いブラント役のジェレミー・レナーもスタイリッシュで「ハート・ロッカー」とはまた違う一面が見れたのも良かった。
ジェーンはまあ普通かな、という。金髪女暗殺者ザビーヌ・モローのレア・セイドゥのほうが個人的に好み。
ひとつだけ言うとすれば、
お互いもうちょっとおっぱい要員的なシーンがあれば。
最後に笑ったのはやはり「ミッション・コンプリート!」のシーン。ルーサーとの「お前マジで言ったの?www」というやり取りは思わずクスっとなってしまった。
若干大味は否めなく、スパイ同士のヒリつく戦いにはやや遠いアクション作ではあるとはいえ、代表シリーズの今作で「やはりトムはトップスター」という印象を世間に与えたのではないだろうか。
映画×短歌
キラキラと輝く白い歯と笑顔 真似ようたってうまくいかない