アメリカン厨二病(映画「リミットレス」)
☆×４
限界の、その先を超えろ！ 究極の能力＜リミットレス＞を手にした男は、富と権力の頂点に立つのだが…
「ハングオーバー」で一世を風靡し、そののち「特攻野郎Ａチーム」で本格的ブレイクしたブラッドリー・クーパーの主演作。見るたびに思うけど、ブラッドリーはん、ほんとイケメンすなあ。抜け作ぶりも似合うのは無精髭のバランスなのではないかなとも。
※注意 最後にネタバレにつながる表現が少々
あらすじ
エディはまだ小説を書いたことがない作家。すなわち無職。おまけに恋人リンディに食わせてもらっているヒモ同然のダメ男。
ある日エディは元妻の弟ヴァーノンと久々に再会し、NZT-48というドラッグを入手する。
「普段20%しか使っていない脳を100%回転させる」ドラッグのおかげでベストセラー作品を描き上げたエディはNZTをもっと入手しようとヴァーノン宅を訪れるが彼は死体になっていた。
もうね、ご都合主義とか邪気眼どころの騒ぎじゃないんですよ。ハリウッドにも厨二病がいたんですよ！
ちょっと顔がいいだけで、あとは取り柄のない言い訳ばっかりのボンクラ。こいつが薬飲んだだけで超絶スーパーマンになっちゃう。自己中心なヤツだからもちろんカネ！カネ！カネ！カネが全てや！ 「クズどもの命よりカネのほうが大事だ！」という利根川さん*1よりもカネ！カネ！
でも(服用時は)頭はいいから合理的にカッコよくスマートに稼ぎまくる！
「ヒトの脳は100%活用されていない」は都市伝説とも事実ともいわれ、第三の目を開くトレパネーションというものもあり、漫画「ホムンクルス」でドキドキしたボンクラは数知れないだろう。
本国米国でも胸躍ったボンクラが多かったのか、「ヒットするかどうか分からんがこれはすばらしい作品だ」と絶賛され、「世界侵略：ロサンゼルス決戦」「ランゴ」あたりの製作費では負ける作品を押しのけて首位に立っている。
日本のラノベやエロゲみたいなカス作品でありがちな超人化を、ハリウッドがまじめに製作するとこうなるという。
もし日本だと「学校祭の体育館でライブ」「超能力で時間を止めて気になるあの子にチョメチョメ」「1人暮らしの高校生の家に巨乳の幼なじみが毎日迎えに来る」「右ストレートでぶっとばす。まっすぐ行ってぶっとばす」「邪眼の力をなめるなよ！」「電球のヒモを理力＜フォース＞のパンチで撃つ」あたりでしょうか。
エディくんの成り上がり
(このパッとしないオッサンが)
(こんなスマートなイケメンに)
- とてつもないベストセラーを一晩で書き上げる
- アルゴリズムでＦＸ100戦100勝、10日で2300万ドルを稼ぐ*3
- 投資家に取り入りビッグディールをまとめて報酬ガッポガッポ(オリンパスのエセ買収ではなく、新日鉄＋住金or三菱重工＋日立製作所の合併をまとめるレベル)
- 犯罪の容疑者になってもうまいこと助けてくれる弁護士を雇う
- キャッシュで購入した防犯万全の家に賊が来ても返り討ちにして「武器商人が同士討ちしたことにしよう」と機転をきかせスマートに立ち去る
それは機転というか願望か？というのも・・・。
世界のマーケットを統べていた米国では、やはり投資に携わる者＝切れ者エリートというのはステレオタイプ。ベストセラー作家からいきなり投資の世界に切り替わったのはおいおいと思うけれど、この映画、メリケン厨二病だからしゃーない。
切れ者イケメンが投資の魑魅魍魎の世界で帝王として君臨するロバート・デ・ニーロと協力し対峙していくさまはかっこよかったです。投資の世界でばりばりというのは、メジャーリーガーになるのが体育系、ロックミュージシャンが文系の妄想だとしたら、理系の妄想を具現化したものなのかな？と。
エディは悟空だった！？
そういえば世紀の名作「ドラゴンボール」でフリーザと戦う悟空が界王拳を連発したジャンプ世代には忘れられないエピソードがあります。界王さまが「あんな倍数では体がっ！」と懸念しますが、体にガタがくるほどの界王拳とはNZTでキレキレになったエディのようなもの。
この映画のラスト・・・
「界王拳30倍だーっ！」をずっと続けていたら、通常時が界王拳30倍になった。体？普通だけど？
というトンデモ厨二病ＭＡＸな展開なわけで、むしろここまでやられるとすがすがしい。
さらにトンデモ厨二病なオチがあるのですが、これは米国人の成り上がりの終着なんですかね。
日本人だったら選ばない結末でしょうね。「Yes! We! Can」ならかっこいいけど、「友愛」「カイワレ」「どぜう」とかは言いたくないもんなぁ。
映画×短歌
超人になれるとしたらカネよりも 糸出す力選ぶボンクラ
